『表情が読み取れない』気づきにくいお子様の困り事

相手がどう思っているのかを読み取る時、人の表情を見て感じたり読み取ったりしますよね。ですが、発達でこぼこのお子様はそれがとても苦手だと言われています。

「あれ?なんでこんな反応をするの?」と思った事はあったとしても、日常生活をしていて『表情が読み取れない』と気づきにくいと思います。

私自身保育をする中で、『表情が読み取れない』という困り事に、なかなか気づいてあげられずにいた事がありました。

3歳児で受け持ったRくん、身体が他の友だちよりも大きく力の強い子でした。

認識面では少しゆっくりで言葉も少しゆっくり。友だちと関わる事は好きで一緒に遊ぶのも大好きな元気な男の子でしたが、思いが通らないと癇癪を起こしてしまい、気に入らないと手がで手がでてしまうので、友だちからすこし怖がられてしまうところがありました。

なんせ身体が大きくて力が強いので友だち3人を一気に突き飛ばしてしまうぐらいでした・・・

その当時は、まだそこまですぐに発達の相談をという時代ではなかった為、発達面を考え、丁寧に伝え知らせていく事をぐらいしか対応は取れていませんでした。その時によく私が言っていた言葉が、

「お友だちの顔見て!とっても悲しい顔してるでしょ?」

目で見てわかりやすいと思い、友だちが嫌な思いをして悲しんでいる顔や姿を見せることで伝えていこうと思っての言葉でした。

そのたびにぽろぽろと涙を流しているRくん、「僕だって悲しいんだよ・・・」

自分の思いを止められず、衝動的に行動してしまう事に困っているからなのだと思っていました。もちろんそれもRくんの困り事の一つではありましたが、その時は『表情が読み取れない』事には全く気が付いていませんでした。

月日は流れ、5歳児になったRくん。言葉もゆっくりながら思いを言葉にして伝えられるようになり、手が出てしまうトラブルは殆ど起きなくなりました。ただ、発達でこぼこのクラスメートとだけは、毎日のようにつかみ合うぐらいの喧嘩になってしまいます。どちらも言葉で伝えるのは上手ではない上に、どちらも言葉の理解がゆっくりだった為、思いのぶつかりが行動に出てしまうのでした。

就学前という事もあり、保護者の方の同意の上、巡回の先生に発達検査を行ってもらいました。その時に聞かされたことが『人の顔の表情を読み取るのがとても難しい』でした。

そばで検査の様子を見てハッとなりました。絵に描かれた人の絵。「泣いているのはどの子?」で指さした子はにこにこしている女の子でした・・・

巡回の先生によると、表情の読み取りだけでなく、言葉の理解も出来ていない事が多いので、更に理解が出来ていないのではと指摘されました。

Rくんの「僕だって悲しい」を私は思い違っていたのです。繰り返す私の言葉に、何となく嫌な気持ちを伝える言葉として認識はしていってたのかもしれませんが、きっとやりすぎてしまい、友だちが悲しい顔になっている事が認識できず、なぜ先生にこんなに叱られるのかがわからなくて悲しかったのだとその時思いました。

その後、絵本を利用したり、表現遊びの中にどんな気持ちを表現しているのか等言葉と行動をつなげるといった遊びや発表会も近かった事もあり、劇ごっこ等を取り入れていきました。

すると経験画を描いたとき、「先生、これYちゃんでな、笑ってるねん。でも先生怒ってるねん。」と言って遠足に出かけた時の絵で、伝えてくれたのです。その絵は口が開いて笑ったYちゃんと口角が下を向いた私。Rくんは、表情だけでなく、その場で起こっていた出来事も表情から理解していました。

「先生怒ってるのにな、Yちゃん笑って逃げてるねん!」

そう、水族館で逃走するYちゃんを必死で追いかけまわしていたんです(笑)そんな風にRくんは見ていたんだなと思わず笑ってしまいました。しかし、Rくんがそうやって読み取り言葉だけじゃなく絵にまでできるようになった成長ぶりに驚かさせました。

お子様がどんな事で困っているのか、目の前に起こる出来事だけが困り事のようにとらえてしまうのではなく、その困り事の要因が何なのかをお子様の姿や行動を見守る中で仮説を立ててあげることも大切かもしれません。そこには、どんな特性があるのか、どんな事が苦手で難しい事なのかと知識も必要にはなります。保護者の方だけではなかなか難しい事もあると思いますので、保育園や幼稚園の先生、発達支援の施設等に相談したり、協力してもらう事も必要です。

少しでも早く、お子様の困り事に気づき、過ごしていけるようサポートしていけるといいですね。