つい、言ってしまう「何で?」に黙ってしまう理由。

何か起こるとつい、「何で〇〇したの?」と大人は言ってしまいがちですよね?どんなお子様でもこの言葉って問い詰められているようで、”怒られる”と思ってしまい黙り込んでしまうものだと思います。

それでも理由をいろいろと話したりしてはくれると思いますが、発達にでこぼこのあるお子様は、様々な特性から答えられないのです。

「何で」がわからなかったり、思いを上手く言葉で伝える事が出来なかったり、衝動的にやってしまって覚えてない等理由はたくさんあるのです。

5歳児Rくん。未判定ではあるが、認識面の遅れとADHDの傾向があるお子様。

Rくんは、性格は優しく、お友だちが大好きで一緒に遊ぶのが大好きで、時々やんちゃな事もし、お世話焼きなところも多いのですが、上手く言葉にできなかったり、言われた言葉に傷ついてしまい、その気持ちが攻撃的になったしまう事も多いお子様でした。

度々起こるお友だちとの喧嘩・・・ある日、起こった出来事にも、「何で?!」と問い詰めていました。

その時もお友だちとの喧嘩でした。口喧嘩ではなく、つかみ合いの喧嘩になりました。幸いにも怪我には至りませんでしたが、お友だちが力の強いRくんに突き飛ばされてしまいました。

あまりにも突然の喧嘩につい私は、両者に「何でこんなつかみ合うような喧嘩になったの!?」と仲裁に入りました。お友だちの方からは、「Rくんが勝手に僕の〇〇してきたから怒った」と聞きました。

それを聞いて私は「何で勝手にしたの!?」と問い詰めてしまってました。

「だったな・・・だって・・・」

その後はだんまり。しばらく沈黙が続きぽろぽろと涙をこぼし始めて・・・

怪我をする危険があった出来事だった事で、ついRくんの発達の事や特性で気をつけていた事を忘れ、

ものすごい勢いで追い詰めてしまっていたと涙を流すRくんを見てハッとなりました。

お友だちから話を聞き、話の流れを整理しながら、Rくんに一つ一つ確認していきました。すると「お片付けの時間になったから片付けてあげた!」というRくんの思いが見えてきました!

どうやらお友だちが作っていたもの良かれと思い、勝手にトイレに行っている間に片付けてしまったようなのです。(友だちは形を残して片付けて続きをしようと思っていたのに、バラバラの状態にして片付けてしまっていた)

Rくんにとっては、『良い事』をしたと思っていたのに、相手に怒られた事で気持ちが混乱し、パニック状態となりつかみ合うほどの激しい喧嘩になってのです。

今回の喧嘩で、私はたくさんの事に気づかされました。

Rくんは、言われたらしないといけないという所もあるので、「お片付け」の言葉にすぐ、「片付けなきゃ!」と思い、衝動的に行動してしまうという特性から今回の事が起こりました。その後の喧嘩も、気持ちの整理が出来ず、気持ちのコントロールなくなりパニック状態になったのです。更に、私の「何で?」に”怒られた”としてしまったのです。

つい、起こった出来事ばかりに気持ちが向き言ってしまい、「何故こうなったのか」という問い詰めでしかなかったのだと気づきました。そして、特性を理解した上で、どのような言葉をかけていけばお子様の「本当の理由、本当の思い」に目を向けてあげられたのにと思いました。

そして、衝動的な行動の中に、「お友だちの為に」という相手を思いやる気持ちがあった事も感じました。やり方や伝え方、上手く関われないで誤解を招く事も多いですが、そんな気持ちを持ち、お友だちと関わろうとしている姿を知りました。

お子様は、つい「何で!?」と言いたくなるような事をたくさんすると思います。

でもそれには理由がある、わざとじゃなくて、困らせるわけでもなくて、時には思いやりからなんて事もある・・・

「何で?」ではなく、「何をしようと思って〇〇になったの?」と丁寧にその出来事が起こった本当の理由やお子様の思いをゆっくり聞いてあげてほしいなと思います。