発達でこぼこのお子様の癇癪が「ものすごく大変」「どう対応したらいいの?」と日々悩まれている保護者の方も多いと思います。その癇癪と共に『唾吐きや暴言、暴力』が出てお困りの方もいるのではないでしょうか。
2歳児のRくん。言葉は少しずつ出ているものの、どの単語も不明瞭で聞き取るのが難しいくらいでした。なので「〇〇がいいの?」「ちゃう!(違う)」と自分の思いが上手く伝わっていない事によく怒っていました。思いついたら衝動的に動き回り、思い通りにならないと癇癪を起こす・・・そしてすぐカッとなる事の多いお子さんでした。
入園当初は、その衝動的な行動でお友だちとも上手く関われずにいました。もちろん保育士とも・・・
いろんな事に興味や関心を持ち、意欲的なRくんは、何でも楽しめるのですが、独占欲が強くお友だちと一緒にするというのが苦手でした。そして、その言葉がけやストップがかかると・・・
顔に向かって唾をプーっとかけるようになったのです。
発達が気になるお子さんではありましたが、状況から考えると「一緒にするのが嫌だったから」「譲るのが気に入らないから」わざとやっているのだと思っていました。
そこからは日々エスカレートしていき、お昼寝の時間が来ると保育士の顔に唾を噴射!
言葉が不明瞭ではありますが、何か嫌な言葉を発したり、ベーっと下を出す行動も出てきました。
また、何か起きた時だけではなく、突然する事も増えてきました。
その時の私は、その行動自体をどうにか止めさせようとしかしていませんでした。
『嫌な気持ち』の表現であることは違いないとは思います。それを言葉で伝えるように教えたり、あまりにひどいときはやはり注意して関わっていました。
他の保育士も対応に困り、叱れば叱るほどエスカレートし、更には癇癪を起こす頻度も上がる・・・
『これはゆっくり向き合うしかない!』何となくそう感じたのです。
そこからなるべく活動の際、私もRくんのそばで一緒に参加してみたり、お昼寝の時は、騒いでしまうので、それだけはしないように話をしながら納得するまでそばで過ごしてみました。
そして気が付いたのは、Rくんには伝えたい思いがいっぱいあって、不明瞭であってもいっぱいお喋りしたくて聞いてほしかったのです。
そばで、自分の思いを理解してくれる人がいると感じたのか、そこから少しずつ唾吐きや暴言や暴力的な行動は少なくなっていきました。(癇癪を起こすほどの事がある時は少し出ました)
私は、「Rくんの事を何も知らなかったんだな」と向き合ってみて思いました。どんな事が好きで、どんな風に受け止めたり感じたりするのか・・・
そして気が付きました、Rくんは「思いの伝え方が苦手で、言葉も上手く伝えられない」そして、「イライラを抑えるすべがなかった」そんな思い、ストレスからの行動だったのかもしれないと。
その症状はトゥレット症(チック症)等の別の症状の場合もありますが、発達でこぼこのお子様は、こうした自分の思いを上手くコントロールできなかったり、上手く伝えられなかったりする事が『唾吐きや暴言』に繋がっているのかもしれません。
成長するつれ、周りで起こる事に対して感じる事も多くなるでしょう。それがいいのか悪いのかも経験と共にわかってきているが故、ストレスとなって抱え込んでいる事が繋がっているのかもしれません。
発達特性からくるもので、止められないものだと思わず、まずは、お子様に寄り添ってみてください。
「ものすごく頑張っている」「こんなふうに成長していたんだ」「本当はこんなところがあったんだ」「本当は聞いてほしかったんだ」と気が付くはずです。
発達でこぼこ関係なく、お子様はいつだって周りの大人や保護者の方に見守られ、安心した中で成長していくものです。
誰だって、人から認めてもらえたり理解してもらったり、褒めてもらうと嬉しいしじゃないですか!
そんな気持ちになってそれをストレスに感じますか?暴言や唾吐きしたくなりますか?
お子様に寄り添い、向き合ってみてください。きっと少しずつ変わっていきますよ!