発達でこぼこのお子様で、わざと相手が嫌がることをして、注意しても全く言うことを聞かないばかりか、笑って喜ぶような様子を見せる・・・そんなお子様でお困りの方もいらっしゃると思います。
保育園にもいました。毎日毎日飽きもせず、私を怒らせ、追い掛け回させるお子様が・・・。
そんなお子様とのお話をしたいと思います。
「〇〇先生(私)がお休みの日は見られません!」と他の先生から言われてしまうぐらい目を離すと友だちの嫌がる事をして泣かせ、と思ったら部屋の中を友だちを引き連れ群泳するかのように走りまわっている・・・3歳児のTくん。
発達のゆっくりなお子様や気になるお子様が多いクラス。Tくんのやる事は、面白く見えて釣られていく友だちも多く、そこが悩みの種でもありました。
お残りの時間まで保育を受けていたり、土曜保育も休まず登園してきていたので、他の先生とも関わりが多いのですが、どの先生からも「Tくんは見られないわ・・・」と手を焼いてしまうと言われる毎日でした。
2歳児からの持ち上がりだったのですが、昨年よりも力も強くなり、語彙数は少ないものの口も達者で、どんなに注意してもあーでもないこーでもないと言い返しどんなに怒られてもヘラヘラ笑っているのです。
お母さんやお姉ちゃんの事もあり、Tくんにも気になる所はあるものの、その点以外は何でもこなすので、「発達障害」からだと思っていませんでした。
相変わらず、常に困らせる、嫌がらせる事をしては怒られる日々を過ごしている中で、ふと思う事がありました。別の男の子で、私の注意を引きたくて構ってほしくてわざとTくんのような事をする子がいたのです。その子と同じように、実はTくんも私の反応を楽しんでわざとやっているのではないか・・・と。
そこからTくんへの関わりに変化をつけてみました。友だちに嫌がらせをした時は、すぐ怒らず近くまで呼んで話をするようにしました。
「〇〇ちゃん叩いたの、なんかされたからなん?」
「だってな~〇〇ちゃんがな~・・・」
聞いていても理由にもならない理由を少ない語彙数で伝えてきました。そして「やっぱりな!」と思える理由もわかりました。構ってもらおうとしてやっていたのです!
なので、そんな風に何かある度話をし、最後には「嫌だったら先生に言いに来てな~」と言ってました。
しばらくすると嫌がらせなどを起こす事が減ってきましたが、その代わり小姑のように、いろんな事を私に報告する俗に言う「チクリ」のようになっていました(笑)
嫌がらせをして友だちに嫌がられるより、喧嘩になって怒られる経験を重ねるよりずっといいのでは・・・と思いました。
その後もTくんはどんどん変化していきました。衝動的で思い立ったらすぐ行動してしまい、じっとできないところはあるので、困った行動はまだまだたくさんありましたが、暇を持て余し走り回るのではなく、「〇〇やりたい!」等と自分から遊びを見つけてきたり私や友だちとの関わり方も身についていきました。
いつもヘラヘラとしている反応にばかり大人は怒ってしまい、Tくんがわからずに困っていた事に気がついていなかった結果が、このような行動に繋がっていたのかもしれません。
相手がどんな気持ちなのか想像するのも難しかったのかもしれません。どうやって関わればいいのかわからなかったから嫌がる事や困る事をしたのかもしれません。
Tくんの場合は、「構ってほしい」が理由でしたが、ご自宅でお母さんにだけ困らせたりする行動をとるお子様も多いと思いますが理由は同じとは限りません。外での刺激や我慢でモヤモヤイライラした気持ちを出せるのがお母さんだからやっているのかもしれません。お子様によって、その時々によって違うと思います。
また、発達でこぼこのお子様に関わらず、お子様が取る行動には必ず理由があるという事です。
まずは、お子様がどうしてその行動を取るのか、どんなことでも考える事が大切なのだと思います。そこに隠れた困りや気持ちが見えてくると対応の仕方も見えてくるのかもしれませんね。