止められない、自傷行為!

発達でこぼこのお子様で、掻きむしったり自分の事を叩いたり噛んだりで困ったいらっしゃいませんか?

感覚過敏から肌に触れる物、太陽の光や汗等ちょっとした刺激からでも痒みを感じて搔きむしってしまうことがあります。その『掻きむしり』が感覚過敏からではなく、別の理由へと変化していくこともあるのです。自分の身体を傷つけてしまう自傷行為となってしまう理由について考えてみます。

3歳児Tくんは、感覚過敏の為、身体をボリボリと首の辺りを掻きむしる姿がありました。

痒みがあるわけではない時も見られるようになり、思い通りにならない、気持ちをコントロールできなくなると『イッーーー!!』となり首だけでなく足や腕を掻いたり爪を立てるようになってきました。

衝動的な行動をするTくんで、脈絡のない話になることもありますが、よくおしゃべりをします。しかし、自分の不快な気持ちは上手く伝える事が出来ないため、イライラすることも多かったのです。

気持ちを代弁したり、こちらに理解してもらえると、落ち着くのですが、成長につれ、葛藤する場面が増え、身体をグーで殴る行動へと変化していきました。

そして必ず「ウーーーッ!!Tちゃん壊すんだ!」でした。

思い通りにならない事が理由ではなく、それにイライラしてしまう自分に怒っていたのです。

Tくんの心の成長を感じながらも、その分抑えられない葛藤が『自傷行為』となって表れてしまう状態をどうしたらいいものかと悩みました・・・

『嫌な気持ちになったら、先生の所に来る』

何度もそれを伝えて見守る事にしました。

すると「ウーーーッ!!あのね、Tちゃんね・・・」と伝えられなくても自分を叩く前に私の所へ来るようになりました。ただ、来ても「壊すんだ!」と叩く事もありました。

Tくんは、初めは感覚過敏での掻きむしりから、自分の気持ちが伝わらなかったり、嫌な思いを伝える手段として起こっていました。

お子様によって自傷行為をする理由は違ってきます。どのような理由があるのか、原因を考えていく必要があると思います。

①ストレスや不安

「怒られた」「叩かれた」「嫌な音がした」不快な気分になった事が原因で対処方法がわからずパニックになり、自傷行為に繋がる。

②感覚遊びとして

外部からの刺激を取り入れようとして行うことがある。

③嫌な感覚を打ち消そうとして

「音が大きく聞こえる」「光がまぶしく感じる」「手をつながれると痛い」等、少しの刺激も強く感じて取ってしまうことがある。

④自分の気持ちが伝わらない為

コミュニケーション能力の困難から思いを上手く伝えられずイライラしたりパニックになる。

⑤周囲の気を引こうとして

適切なコミュニケーションを取れないことが原因で、行為を行うことでコミュニケーションを取ろうとしてしまう。

⑥意思を通そうとする

言葉が未発達なお子様に見られ、自分の思いを通そうとして行為を行う。

⑦こだわりや行動の一部となっている

思いに関係なく、一連の行動の流れとなってしまっている事がある。

①原因を取り除く

理由がわかっている場合は取り除いてあげる。

②行動の流れを変える

変化を嫌がるので、逆にパニックになることもあるが、繰り返すうちにそちらが流れになり、行為の回数は減る。

③対処の方法を教える

気持ちのコントロールが出来なくなった時にどうすればよいか(その場を離れる、人に知らせる等)を教える。

④過剰に反応しない

安全な場合は見守り、落ち着ける環境に誘導するようにする。

⑤別の刺激を与える

マッサージやストレッチ、運動などで身体を動かしてエネルギーの発散をさせる。

自傷行為をする理由も、止められない原因もお子様によってそれぞれ違います。

対処の方法も上げたようなやり方が合わない事もあると思います。

何とかやめさせたいからと周りの大人は一生懸命になりますよね!気持ちに寄り添って何とかして・・・でもなかなかおさまらず逆にイライラしてしまうこともあると思います。

でも、一番苦しんでいるのは、誰よりお子様本人なのです!

そう考えた時、私は少し理解できる事がありました。思い通りにならなくて部屋のものに当たり散らし、悔しい思いを伝えられない自分に腹が立ち、足をつねった思春期を・・・。

ありませんでした?こんな時期のこんな気持ち??

少し違うのかもしれませんが、こんなモヤモヤが起きているのかもしれません。

お子様が感じている気持ちを理解し、その原因となるものがわかってもらえるだけでも『自傷行為』は少なくなっていくのかもしれません。

「なくす」「減らす」に目を向けず、まずはお子様の気持ちに目を向けてあげる事が大切だと思います。