発達でこぼこのお子さんのどうしても譲れない『こだわり』変えることできるの?

「必ずこれをしてから〇〇する」「順番はこれが1番で、これが、、、」「やり終わらないと次に進めない、、、」等お子さん一人ひとり、こだわりは違います。

こだわり行動は『発達特性』によるものです。脳機能の特性によりこだわりの対象への強い欲求が
現れてしまうのです。強制的にやめさせようとしたり、𠮟責したりしても、お子さん本人がコントロールできずに何度も繰り返してしまい、辛い体験を重ねる事になり大きなストレスとなってしまいます。無くすことはできません。でも、変えていく工夫を考えて行く事はできます。

・事前にスケジュールや手順を伝える
(予期しない事への抵抗感や不安感の軽減)

・目的の場所を目に見えるように(写真など)伝え、ルートや時間の変更を知らせる。

このようにサポートしながら上手く利用して『こだわり』を別の『こだわり』に
すり替えてあげるといいかもしれません。

保育園では、2歳児さんぐらいから『お帰りの準備』というのを自分でやります。自分のコップや手拭きのタオル、お着替えした服等をかばんに片付けたり・・・

私の受け持っていた3歳児のクラスのお子さんは、ひとまずコップとタオルを直すことから出来るようにしていきました。

おやつ後、うがい➡コップと手拭きタオルをカバンに直す。

それが出来たらカバンを持って保育士の所に行き、お帳面を一緒に直す。

直すといっても、「コップはコップ袋に入れる」、「タオルはたたむ」という作業もあるので、3歳児のお子さんには簡単にできないお子さんも多いわけです。

うがいをして手や口を拭いたタオルをもって自分のロッカーの前へ行くという流れにしているのですが、なぜかTくんはコップだけもって帰ってきます。強いこだわりを持つTくんは、コップだけ先にカバンに入れたいようでした。それが出来ないと手拭きのタオルを取りにいけない・・・

コップは小さなコップ袋に入れるので、不器用さのあるTくんにとっては、なかなかの試練。ですが、自分でする事にも強くこだわるので触ると怒ります。なので、かなりの時間を要する事になるのです。

それからタオルを取りに行く頃にはみんなは自由遊びを初めそれが目に入ると・・・遊びたくなって怒り始めるのです。

これはどうしたものかと考え、コップ、タオルを一緒に持ってくる方法を教えたり、一緒にやってみたりする事もしてみましたが、なかなか上手く行きません。

しかしある日、目にした光景を見て思いつきました!

給食後はコップ入れに直してます、それを間違えておやつ後にも直していたのを見つけたのです。

間違えたことを伝えないで様子を見ているとコップがないので、タオルを直し始めたTくんでした(笑)

直し終わってカバンを持ってきたTくんに「コップ入ってないね」というとコップ入れに入れたのは覚えていたようで、急いで取りに!

その日はお帳面を直すテーブルの上でコップをコップ袋に入れたのですが、その方がスムーズにできたので、誰よりも早くお帰りの準備が終わりました。

そこからTくんはコップ➡タオルの順番にこだわりは、「早くできた」という嬉しい体験が出来る事で『早くお帰りの準備をする』になりました。そして、コップはテーブルに置いてまずはタオルと順番も変わったようでした。

この『お帰りの準備』、終われば楽しい自由遊びの時間。Tくんはそれを知っていたけれど、1つずつ順番に終われせないと次には進めないというこだわりで、「遊びたいけど〇〇ができてないから遊べない」と苦しんでいました。

たまたまの間違いを見つけた事がきっかけでしたが、ルーティンとなってしまっているこだわりをほんの少し変える事で、「準備が早くできてうれしい」「いつも遊べなくて怒っていた自由遊びを楽しめた」とTくんにとってはプラスの経験ができたのです。

そして「早くお帰りの準備をする」という事がこだわりになったので、雑になったのでまた別のサポートも必要となりましたが、お帰りの準備だけではなく「こうしたら早くできるよ」ということには敏感に反応し、いろいろとやろうとする事も増えていきました。

(「1番」や「早い」にこだわりすぎるのもよくないとは思い、誰かに比べてではなく、「今日は昨日より早かったね」等と声のかけ方に気を付けていきました。)

強い『こだわり』で、生活に困りが出てしまう事もあるかもしれません。しかし強い『こだわり』も上手に切り替えてあげられたら、お子さんにとって物凄くプラスになる『こだわり』になるかもしれません。

困り事を軽減するそれだけでなくそれをプラスにするそんなサポートもできたらいいですね!