お子様の成長が感じられる!特性を考えた環境づくり

発達でこぼこのお子様は、目に入るものに気を取られてしまい、大人の声や指示が入らなくなってしまう・・・そんなこと、ありませんか?

保育園や幼稚園等は、環境的に自由に遊べる玩具や絵本が手に届くようになっていることが多いです。ご家庭でも、目につく、手に届きやすい所に片付けられていると思います。

しかし、その環境を見直してみると、行っている取り組みがより一層お子様の成長に繋がるかもしれません。

3歳児クラスに進級したばかりのTくん。

担任になったばかりの私は、Tくんへの関わりもまだ把握できていません。どちらかというと、幼児クラスになので、もっと自由におもちゃで遊べる、絵本を見られる環境づくりを考えていました。

4月の保育園は、全体的に落ち着きもなく、どんなお子様も不安定な時期。なかなか指示が入らないのは仕方がないことですが、流れが身に付き、言葉の指示で活動できるようになってきました。

Tくんは発達のでこぼこのお子様で、指示は入りにくいものの、おしゃべりはとても上手で、ストップをかけられるたびにゴニョゴニョと思い通りにならない事を言っている毎日でした。

クラスが少し落ち着き始めたので、おもちゃや絵本の配置を自由に使える、手が届く場所に変えてみました・・・がその日からTくんは、今までよりも言葉が耳に届かなくなり、活動中であろうと、「つまらない」と自分が思うと、おもちゃの元へダッシュ!!

おかげで、クラスの友だちもつられてしまう事も出てきました・・・。

クラス全体の事を考えた環境づくり。しかし、Tくんには余計な刺激になってしまう・・・

悩みました。そして、行ったのは、「使っていいよ」の時間までは、衝立や布をかけて目隠しをしたのです。

あら、不思議!目に見えないだけで突然の活動拒否、おもちゃへダッシュはなくなりました。

ですが、それだけでは賢いTくんでしたから無理でした。目隠しの中からこっそりおもちゃを出してました。そして、「だ~ってTちゃん、遊びたかったから~!!!」と言って、床をどんどん踏みつけ怒り出しました。

その時に、気が付きました。Tくんは、おしゃべりが上手な為、少し指示が入りにくいものの活動の流れや内容等は伝わっていると思ってしまっていました。

目に見える余計な刺激を除いても、指示の提示の仕方がわかりにくかった為、次の見通しを立てにくくしてしまっていたのです。

言葉の理解がまだ難しいお子様も多い3歳児クラスなので、全体的に視覚から伝える絵カードや活動に使う実物を見せながら、活動内容を伝えるように工夫しました。

他にも1日の流れを見やすい所に絵カードで掲示、自分で活動の内容や時間を自分で選択・決定させる等、無理のなく活動できるようにしました。

結果的に、理解が難しかった他のお子様にもわかりやすく指示を伝えることができることで、他のお子様も安心して過ごせるようになりました。また、Tくんが癇癪を起こして活動がストップすることが少なくなって一緒に過ごせる機会も増え、クラスとしてもTくんにもよりよい環境になりました。

  • お子様の特性に合わせた環境
  • 視覚から入るわかりやすい指示
  • 自分で課題を選択、設定。見通しを立てる。

視覚支援、ルールの明確化、自己設定、特性に合わせた流れや環境を組み合わせ、取り組みを積み重ねる事で集中力や落ち着きを得て、そこから更にいろんな事を身に付けられ、順番やルール等を理解しながら行う活動や作業もできるようになると、学習に向かう姿勢を作っていく土台作りにもなります。

環境づくりもお子様への関わりも、成長のためにいろいろと先読みして行ってしまいがちですが、何より今のお子様の姿や発達段階、困り事や難しい事に合わせて形で行っていくことが大切だと思います。