相手の気持ちを考える、理解するって簡単な事ではないと思うんですよね・・・
まず、出来事に対して自分だったらどうだろうと考えると思います。そしてその後、「こんな事されたらこんな風に思うのかもな」「こんな事言ったらきっと嫌なんだろうな」と相手の気持ちや状況を想像することで気持ちを理解したり共感したりといった一連の作業が頭の中で行われているのです。
こうやって考えると、順序だててみると人との関わりって本当に簡単な事ではないですよね・・・
発達でこぼこのお子様や、大人の方は、相手の気持ちや状況を考えない言動をしてしまうことがあります。 それは、発達障害に 想像することが苦手(想像力の欠如) という特性があります。ですので、相手の気持ちを考えるのは本当に難しい事だと思うのですが、それだけでなく、解釈の問題もあるのではないかと思うのです。
長い付き合いのあるアスペルガーの男性の事です。
彼は学校にはあまり行かず、独学で勉強をして難しい試験や資格も取り、とても頭のいい方でした。
ただ、対人関係が苦手で、長く誰かと過ごす事が難しく一人で出来る環境に身を置く方が上手くできるようでした。
独特な考えの彼でしたが、交流もあり親しい中ですのでふざける事もあります。ですが、彼は時々行き過ぎた行動を取る事があるのです。
あまりにも度を越し、こちらが不愉快に感じたので、「もうやめてほしい!」と言った時です。
「俺は嫌じゃない」と嫌がる私を見て楽しんそうにしているのです・・・
私は言葉を失いました・・・これ以上、何と言えば伝わるのか考えることすらできませんでした。
また別の時にはこんな事も言われました。
「俺はそう思っていないのに、なんで〇〇(名前)の気持ちを考えないといけないの?」
「俺はやりたいと思ってるからしてるのに、なんでそれがいけないの?」
気持ちを想像するのが苦手だからというのは理解しているつもりでした。なので、自分の気持ちを言葉にし、伝えた上で「してほしい」「やめてほしい」と話していました。
しかし、彼の解釈の仕方では、到底私の言っている気持ちも要求も伝わる事は難しかったのです。
もちろん、これは心を許せる間柄だからだとは思うのです。仕事を行う場面など社会の場では、仕方なくではあってもやっているのだとは思います。
社会に出て、身についてきたものもありますが、子どもの頃に手立てやサポートを受けたりする事もなく、人との関わりも避けてきた彼の姿から思いました。今は環境が整い、そういったつまずきや困りをサポートできる場所がある、早期療育でお子様たちが困り感なく過ごしていってほしいと思います。
相手の立場に立って考えてみるというのは、『自分』に置き換え『自分』がどう感じるか考える事ではなく、『相手』がどう感じるかを考えるなんです。
想像する事、考える事が苦手で考えてもわからないから『考えない』となっているのかもしれません。
わからない事を考えても答えは出ないし、それだけ考えているとに人との関わりにストレスを感じてしまいますよね。ですが、出来るだけ上手く人と関わりをもって過ごしていけるようになってほしいですよね。ですので、
自分が〇〇と感じている➡だけど相手は違う△△と感じている
自分の考えとは違うかもしれないという事を知らせていくことが大切だと思います。
これは定型発達のお子様、健常者の方みんなに言えることです。自分が感じた事がすべて正しい事ではありません。相手の気持ちは自分の気持ちと同じではないし、同じじゃないといけないのでもありません。
今の時代、自由に簡単に発信できてしまう社会です。心が傷つき、傷つけられる出来事も免れないような事もたくさん出てくると思います。
少しでもお子様の困りを減らし、過ごしていくことだけでなく、傷つく事を守るだけでなく、傷つけないようにしっかりと教えて教えていくこともお子様の育ちには必要だと思います。