公園に遊びに行ったり、保育園や幼稚園に入って、他の子はお友だちと一緒に遊んだり、同じ輪の中で楽しそうにしているのに、一人離れた場所で遊んでいる・・・
なんでだろ?どうしてなの!?と感じたことはありませんか?
小さい頃は、ひとり遊びが盛んですが、成長と共にだんだんと興味や関心が広がり、関わりも増えてきます。しかし、自閉症の特性や障害を持つお子様は、様々な理由からお友だちとの関わりが難しい場合があります。
◎コミュニケーションの困難
言葉を発することができなかったり、話せても単語程度しか喋れないということがあります。また、上手に話せても、その場に合った適切な会話ができなかったり、一方的に話してしまったりすることがあり、上手くコミュニケーションが取れないことがあります。
また、間違ったコミュニケーションの取り方を覚えてしまうと、叩いたり、引っ張ったり等、相手の嫌がる事をして気を引こうとすることもあります。相手の表情を読み取ったり、相手の気持ちになって考えることも苦手であるため、お友達から嫌われてしまい結果として一人になってしまうということもあります。
◎対人認知が低い
自分が必要な人しか覚えなかったり、逆に全く知らない人に話しかけたり抱き着いたりすることがあります。それは、自分にとって『この人は近い(仲の良い)存在か?この人は遠い(知らない)存在なのか?』と他人が自分にとってどのような存在であるかを認識することです。
対人認知が低いと他人と一緒に行動することが難しく、一人で好き勝手に行動しているように見えたり、お友達が周囲に居ないことに気が付かないということがあります。また、寂しいという気持ちも感じないため、自分から関わろうとしない場合もあります。
◎興味や関心の分野が狭い
興味や関心を引く分野が狭い傾向にあり、特定の物事に強くこだわるという事がみられます。その為、「楽しそうだな」「面白そうだな」と色々なものに興味を示さず、お友だちの話や行動にも興味が持てなくてお友だちの輪に入れないということがあります。
◎思考や知能が低い
年齢の小さいうちは開きが少ないですが、年齢が上がるにつれて差が大きくなり、同年代のお友達と比べて思考が幼かったり、能力が劣ってしまい、お友達の会話や遊びについていけなくなってしまうということもあります。
◎感覚過敏
感覚が敏感になる『感覚過敏』という特徴があり、聴覚が過敏であると、お友だちがたくさんいる場所では「うるさい」と感じてしまったり、たくさんの会話や物音が耳に入り混乱してイライラしてしましまうことがあります。また、視覚からはたくさんのお友だちの動き回る様子を見て疲れてしまうこともあります。
その強い刺激から逃れるためにお友だちから離れたり、リラックスできる落ち着く場所に避難していることもあります。
◎関われない理由を探る。
お子様一人ひとり、関われない理由は様々です。
お友だちへの興味関心があるのか?お友だちと関わりたいけど関われないのか?関わり方がわからないのかを分析した上で「コミュニケーションが上手く取れない」「関わり方に問題があり関係を築けない」「会話や遊びについていけない」「聴覚や視覚の過敏」等どんな所に問題があるのかを知ることが大切です。
◎関わり方を教える
「一緒に遊ぼう」等声のかけ方やおもちゃ等の共有方法、嫌がる言葉を使わない、乱暴な行動や態度を取らない等、上手く関わっていく方法を教えていきましょう。
お子様の特性を理解した大人とは遊べる場合は、その中でコミュニケーション方法を学んでいければ同世代のお友だちと関わる練習やきっかけになります。
◎同じ空間で過ごす
たくさんのお友だちと一緒に行動する場面で、直接参加することが出来なくても、同じ空間や場で過ごす機会を作ってみましょう。活動は難しくても見ているだけでもお友だちや周囲の人たちへの意識や関心を強めることができ、刺激を得ることもできます。
◎少人数での関わりから
人がたくさんいる場所での活動や遊びは、混乱してしまう事もありますので、少人数でゆったりと過ごすことができるお友だちとの一緒に過ごし、コミュニケーションを取れるようにしましょう。
◎興味や関心を示す活動から一緒に!
お子様が好きな活動だとお友だちと一緒でも自主的に活動ができ、率先して参加できるので、無理なく、お友だちと関わり、コミュニケーションを取るきっかけにもなります。
◎ストレスを感じた時の対処の方法を教える
お友達と活動をしている際にイライラしてしまったり、ストレスを感じることも多いと思います。イライラしてしまうと、お友達との適切なコミュニケーションが難しくなるばかりでなく、お友達に手が出てしまったりパニックに繋がる事もあります。
そういった時は、その場から離れたり、クールダウンできる場所へ避難したりとおを子様の特性に合った方法を教えたり、時には周囲の大人に助けを求められるようにすることが必要です。
また、気持ちが落ち着いたら自分のペースでお友だちの輪に戻る方法も伝えておくとよいでしょう。
お友だちと遊んだり、適切な関係を築くのが難しい理由は、お子様一人ひとり違います。
大切なのは、お子様の成長発達の段階で無理はないのか?どんなことに困っていて、どんな気持ちなのか?その理由を見極め、お子様に合った適切な対処や支援を行うことです。
どんなお子様であっても、人と関わりコミュニケーションを取ることは簡単な事ではありません。周囲の大人が適切な関わり方を伝えていくことで、よりよい人間関係を築くことができるようになります。
お子様が、たくさんの人と関わり豊かに育っていけるよう支援してあげましょう。