発達でこぼこのお子様との関わり、何を大事に?

保育園には、定型発達のお子様だけでなく、発達でこぼこのお子様もクラスで同じように過ごしています。もちろん、その中で発達でこぼこのお子様への手立てやサポート等も行っていくわけです。

こうして長きにわたりお子様の保育に携わってきた中で、定型発達のお子様にも、発達でこぼこのお子様にも、私は、何を大事にしてきたのだろうとふと、考えたことがありました。

今回は、3歳児で担任を持ち、卒園まで園で見守ったお子様との関わりについて書きたいと思います。

3歳児に進級したばかりで、未診断でしたが、発達のでこぼこのあるTくん。言葉は達者ですが、思いついたら飛び出して行ってしまうような衝動的な事、癇癪を起こしたら自傷行為(身体を叩く)、じっとしている事が難しく寝ころんだり、椅子に座った状態から床に頭をつけた姿勢でいる等も見られました。他にもこだわりの強さなどありました。

そういった発達特性やTくんにとっての困りを理解した上で、私は特別意識を全く持たずに関わっていたなと思います。

ですが、できない事を無理にはさせる事はしませんでした。

  • 気分が乗らない製作活動は気が乗った時にする。
  • イライラした時は目で見える範囲で別の好きな事をさせる(よく水道で水を触ってました)
  • 姿勢が悪いのも、感覚統合の視点から考え、まっすぐに姿勢を保つのが難しいと理解し注意もしない。

このように、Tくんの状態や気分に考慮する事はもちろんありましたが、「時間を決める」「〇〇したらやる」等を決めて行いました。

そしてこれは、Tくんだけではなく、他のお子様もどうしてもやりたくない、できないなんて時は同じような対応をしていました。(許容の範囲で)

なので、特別な意識は全くなかったのです。

人によって考え方も様々で私のやり方がいいとか悪いとか、人によって捉え方は違うと思いますし、否定的に捉えられるかもしれませんが、私が大事にしてきたのはどんなに小さなお子様であったとしても『一人の人間』として尊重するということです。『一人の人間』として、お子様から発したものを認め、受け止め、関わってきたのです。

「子どもだから」とか「まだわからないから」と子ども扱いで頭ごなしに何でも言ったり、小さな胸に詰まった思いや気持ちをないがしろにしてしまわないように大事に大事に関わっていました。

そんな風に関わると、発達でこぼこの特性よりも、そのお子様の思いや気持ちを汲み取った関りが出来るようになったと私はTくんと過ごした中で改めて感じました。

Tくんは、お散歩に出かけるときは必ず1番前で私と手を繋ぎます。これだけは怪我、事故のないようにする為には行わなければならなかった事でした。なぜならTくんは、信号などで止まってしまうと、座り込み動かなくなるのです!

姿勢の問題と同様で、歩くだけでも前のめりな姿勢で前進します・・・まるで坂道を下るような体制なので、急なストップができません。なので前に誰かがいると激突します!そして止まってしまうとまっすぐに立っている姿勢もがしんどくて座り込んでしますのです。

なので、私は毎日の散歩で信号にかかりそうになった時は手前で速度調整をしていました。しかし、靴が脱げてしまう等もあり止まってしまう時は・・・おしゃべり好きで、アニメガ大好きなTくんに、その話を振るだけで、エネルギーチャージした戦隊もののように元気に立ち上がっておしゃべりと共に歩き出します(笑)

私はTくんこんなところが面白くて可愛くて大好きでした。

発達でこぼこのお子様の中には、好きな事に対して強烈な思いや熱意を持つという子も多く、そんな部分を上手く関われる事にすればと思い、気分の切り替えや、やる気を出してほしい時にこんなふうにしていました。

何より、私も熱心にそのアニメの話をしてみるのです(笑)アニメのお話だけでなく、集中して取り組めるものも一緒に楽しむのです!共感するという事ですよね。

お子様の特性を理解する事も本当に大切な事です。ですが、「特性だから」という見方だけでなく、そのお子様の興味・関心、思い等にも目を向けて関わっていけば、お子様の可能性を広げ、人として素敵な部分を見つけてあげられるのではないかと思います。

一人の人間として考えや思いも尊重し、もって生まれた特性を受け止め、関わる中で一緒に共感できる人たちがたくさんできれば、もっと生きやすい社会になるでしょう。

まずは、そばにいる周りの大人が、そうできるといいなと思います。