お子様の姿や見せる行動で、「何でかしら?」と思い、心配になる事があると思います。例えば、ぼんやりマイペース、敏感すぎる、イライラ怒りっぽい、じっとしていられない、等の他にも、すぐにゴロゴロしてしまう、不器用等そのような行動の理由を、『感覚統合のトラブル』という視点から考えてみたいと思います。
感覚統合とは、たくさんの感覚を整理する脳の機能のことです。
脳の発達には、
- 楽しい活動
- 自らチャレンジし、取り組む活動
- 成功体験、達成感を得ること
が重要だといわれています。
感覚と言えば、、、
視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚
その他にも、固有受容覚、前庭覚という2つの重要な感覚があります。
脳はこの7つの感覚を栄養素として発達していきます。
では、たくさんの感覚からの量がある方がいいわけではありません。
感覚を感じ、脳に混雑することなく整理されている必要があります。
このたくさんの感覚を、きちんと分類したり整理したりすることを「統合」といいます。
身体に入ってくる感覚に対して、統合機能が正しく働くことで、正しく感覚を整理し、取り入れることができます。そして、その感覚統合は積み木を積み上げるように発達します。
お子さんの行動の理由に「感覚統合のトラブル」がある場合、問題に対する支援は、その土台になっている感覚・運動面へのアプローチこそが重要になります。
3歳児のTくん。まっすぐに立った姿勢でじっとしているのが「しんどい」のです。
確かにずっとその姿勢でいるのはしんどくなりますが、ちょっとの時間もすぐ「Tちゃんしんどい!」と座り込むというか、寝ころんでいました。
それだけではありません!椅子に座るのもしんどいのです。机に法杖をついたり持たれるならわかるのですが、Tくんは、座った姿勢で頭を傾け床に付けるのです。(まるでブレイクダンスのように)
その当時、感覚統合の知識もなく、ただ、筋肉の使い方が苦手なんだという認識でしかありませんでした。ですので、「訓練、練習を繰り返せば、できるようになる」という意識でしかありませんでした。
無理に立たせたり、まっすぐ座らせる事はしませんでしたが、その姿勢を保てる時間を少しずつにして、途中で身体を動かすなどの刺激を与える方法を取っていました。
しかし、その問題にばかり目を向けて、その発達を促す取り組みにはなっていなかったと思います。
Tくんへの取り組みとして
- 「抗重力姿勢(重力に負けないようにすること)」
- 「身体のバランスをとること」
- 「ボディイメージ、自分の身体を確かめる活動をする」
に焦点を当てた取り組み、活動を取り入れると効果的だったと思います。
その活動を用いた遊び
- つな引きや箱押し、
- 鉄棒わたり(雲梯)、ブランコ
- トンネルくぐり、ジャングルジム等
このように、できない事を練習したり、させようとすることではなく、そのお子様の姿から考えられる問題点に対しての必要な取り組みをしてあげる事、問題の土台となる部分に目を向け、自ら積み上げていけるような働きかけが何より大切だと思います。
すべての感覚はお子さんによって感じ方が違います。
抱えている特性も違います。大切なのは子どもをより深く理解し、必要な支援を届けることです。
お子さんの困り事いろんな視点から考えてあげてみましょう。